今週頭、お爺が転院した。状態は悪く、これが最後の搬送になるだろうと家族は
皆、覚悟した。とは言っても五年前からこんな事を年に一回はしてるけども。

お爺は母方の祖父である。一昨年に亡くなった父方の祖父は、生存する一族中で
出世頭、老いてなお不死身っぷりを発揮し、百二歳で死ぬまで帝国軍人オーラを
纏ってて妖怪と呼ばれた(笑)逝く三日前まで自分の足で歩いて日課だった喫茶
店通いをしたり、巻き煙草に使う紙にこだわったり、お気に入りのサングラス五
個をTPOに合わせて使い分けるようなお洒落人だった。会うたびに厳しく躾けら
れるので、幼少時は苦手だったが。

それにひきかえコチラのお爺は、初孫である俺を猫っ可愛がりする普通のおじい
ちゃんで、俺はお爺が大好きだ。約三十年前に脳出血に倒れて以来、右半身不随
と言語障害で話せない。三十年だよ・・・?週イチだが俺が介護の手伝いをする
ようになってからは十五年ぐらいか。まー、語り尽くせるもんではないが、とに
かく長かった。

俺は十三〜十五歳前半の時に、土地柄もあるが単なるファッションでひどくグレ
てて暴●族の準構成員というアホだったが、先輩が見ず知らずの年寄りにも手を
上げるアホ中のアホだと判明した時点で、その先輩を殴って足抜けした。当然の
ように報復は激しくて四日間入院するハメになったが、退院し、三年ぶりにお爺
に会った時(近くに住んでいたが、後ろめたさがあったのかグレてた期間はなん
となく顔を合わせ辛くて俺が避けていた)、俺の顔を見て笑い転げるお爺を見て
「やっぱ俺、抜けてよかったー」などと思ったもんだ。

・・・などと「その時」の覚悟は出来ているとはいえ、今までのお爺との想い出
が甦りつつ今日までハラハラしながら仕事をしてた。そして昼過ぎにオカンから
のメールが。「きたか」と思ったら

おじいちゃん意識もどったよ。アイス食べた

というメール。脱力である。しかし、丸三日間も生死の淵を彷徨ってたのに起き
ていきなりアイスクリームなんか食わすな、と電話したら、本人が欲しがったそ
うだ。しゃべれなくても好物のアイスクリームが欲しい時は「ふぁいふ」と言う
のである。なんという・・・

しかし、そこは大正元年生まれ、ええ歳やからなー。山は越えたように見えても、
さすがに次の山も近かろう。とにもかくにも「安らかに」と願うのであった。
 
 
 

コメント

Ahi
Ahi
2008年8月29日6:24

こんにちは〜
お祖父様、お元気になられてよかったですね。
あたしの祖父は両方ともに、あたしが生まれる前に亡くなっているので、「おじいちゃん」がどういう存在かは知りません。なのでリオさんがうらやましいです。
お祖父様にアイスクリームを持って、会いに行かないとね♪

リオ
リオ
2008年8月29日19:40

 
Ahiさま\(^_^)/どもども。

とりあえずホッとしました。歳が歳なんで油断はできませんけどね。
僕の場合、父方祖父の前妻であるおばあちゃんも記憶にあり、後妻のおばあちゃん
はもっと。なので今までに祖父と祖母三人あわせて四人見送っています。僕の人生、
今まで明日をも知れぬ年寄りが常にそばに居たのです(笑)その経験から孫の立場
でも言えるのは「長生きするのも善し悪しやなぁ」ということです。裕福なら別で
しょうが、まあ現実はそんなもんで「介護に疲れて」とか「将来を悲観して」心中
してしまったニュースを見ると、その方々の気持ちが解らないでもないのが悲しく
もあり、辛いところでもあったり、ですわ。
でも悲喜こもごも総じてお爺とお婆が居てくれて良かったと思える僕は幸せもので
贅沢ものなんでしょうね。人から羨まれると解ります(笑)
これで遺産ガッポリならもっと、なんですが(笑)

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