『さまよう刃』読了
問題提起作家としての東野作品、ちと重かった。それにしても氏は「強姦=魂の殺人」というものをよく投げかけてくる。元はアリス・ミラーなのかしら?
それと少年犯罪ですか。これもなー。なんか当事者になってみたくもねーがなってみないことには感情移入しにくいっつーか、できれば避けて通りたいっつーか、どうしても対岸の火事なんだな。たぶんみんなそんな余裕ねえって。それが大多数の意見だと思うけど。
でもま、当然というか、そこんところ見越してのことなのか、読者の感情移入対象として復讐劇に巻き込まれて当事者意識を持ちはじめる一般市民の第三者が用意されてたあたりから最後まで読み切ろうと思えた。
結果、ドラマとしては良かったかも。俺は年頃の娘を持つ父親でないことからも、前述のとおり主人公への感情移入は難しかったけど、同情するし支援したい気持ちもありながら、それよりも「(ラストに)どない落とし前つけてくれんねん」って感じで・・・はっ!「告白」と同じじゃねーの。て感じのこれまた後味が良くなるはずのない哀しい鬼の話だった。
そうだなあ、作者が違うが比較して読むと面白味が増すかもしれない。導入からエンターテインメント性が高いのは「告白」だが、この「さまよう刃」には最後の最後になってミスリードさせてたことの種明かしがあって、結局ドラマ性も高めようという意図は見受けられる。まあ、あんまり面白がって読むような小説じゃなかったけど。
印象深かったのは男と女の復讐方法の違いについての会話。なるほど「告白」の森口先生と「さまよう刃」の長峰という二人の鬼にも男女の違いが表れてるような。んで自分ならどうだろう?考えるまでもなく直情的だと思うけど。やっぱ男は愚かだわ。
しかしDVDでてるけどコレは観る気しねーな。こんなの映像化して原作超えるワケがない。ラストが変更されてれば別だが、鬼となった罰を・・・(以下ネタバレ割愛)
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